
一人残される
みんないってしまった
誰かの為に生きてきたばかりに
この孤独の海は深い
思い出たちだけは
誰ひとりいかず
静けさばかりが
歳を重ねていく
明日はまたくる
#詩 #見送る孤独

本当に大切な人なら
綺麗なところだけを
愛したりはしない
見せたくない傷も
情けなさも
逃げ出したくなる弱さも
足りない心を責めるより
互いの穴を
少しずつ塞ぎながら
あるのか分からない天国へ
あなたとなら
歩いていける気がする
#詩

愚痴は
弱さだと思っていた
情けない 品がない
だから
息を止めるように
言葉を飲み込んだ
ある人が言った
「愚痴は心の深呼吸」
吐けない息は やがて
嫉みや憎しみになると
我慢している…
その一言は
心が酸素を欲しがっている
合図なのかもしれない
少しづつ 吸うことよりも
吐くことを覚えなければ
#詩

大好きな作家さんだった。
苦しく辛い時に彼の書く世界に逃げ込み自分を守ったこともあった。人生は短い。
ご冥福をお祈りします。

あなたに何かを望むたび
それはもう
愛ではなくなる気がして
だから私は
名前も返事もいらない
ただ
あなたの幸せだけを
今日も祈っている
#詩

暑い午後
風鈴は鳴らない
グラスの水滴が
ひとつ落ちる
夏はいつも
遠い日の匂いを
連れてくる
#詩

もう会うことはないのだろうけど
元気でいて欲しいと思ったり
どこかで幸せに生きてて欲しいと
思ったり
そんな感情を持たせてくれる人に
出逢えた事は
私を少し良い人に変えてくれた

ひとつ またひとつと
雨粒が街の輪郭を曖昧にしていく
急ぎ足の人も 色とりどりの傘も
水たまりに映れば
みな静かな絵になる
晴れを待ちながら
少しだけ雨に慣れていく季節
咲き急ぐ紫陽花だけが
この曇り空を
誰よりも愛している
#詩

大切に思われていると
感じられたなら
私はもう少し
自分に優しくなれるのだろうか
雑に扱われた言葉を
何度も胸の中で繰り返し
足りなかったものを数えては
自分の価値まで疑ってしまう
それでも時々思う
誰かの言葉がなくても
自分で自分を
抱き締められるようならなければ
この渇きは
いつまでも終わらないのだろう
#詩

六月の雨は何も言わない
窓を打つ音だけが
部屋に増えていく
濡れた道に映る空は
少しだけ深くて
見ないふりをしていたものまで
静かに映してしまう
誰もが傘の下で
それぞれの雨を抱えている
梅雨は奪わない
ただ
隠していたものを
浮かび上がらせる
#詩

狭間で考えている
あれほど確かだったはずの感情が
少しずつ薄まっていく理由を
誰かのせいにはしたくない
時間のせいかもしれないし
慣れという名の静かな風が
心を撫でただけかもしれない
噛み続け味のないガムのように
言葉も温度も失っていく日々に
私は何を信じればいいのだろう
きっと欲しかったのは
特別な約束じゃない
消えない価値だった
時間が流れても気分が変わっても
それでも失われない何か
あなたの中に確かにある
私という存在の居場所
それだけを探していた
#詩 #ラベンダー

「もう いいか」と
何度 心の中で呟いただろう
その度にまだ少しだけと
言葉も痛みも飲みこんできた
言葉にすれば重くなるから
寂しさにも名前をつけなかった
けれど たった一度でも
軽く扱われてしまうと
危うい均衡の上に
積んでいた我慢は
呆気ないほど簡単に崩れていく
突然じゃない
見過ごしてきた痛みが
もう黙らなくなっただけだ
私がようやく
私を許してしまった
もう耐えなくていいと
#詩 #カスミソウ

繋がりがまた一つ消える
音もなく
履歴だけを残して
私への
濃度が薄くなったのだろう
以前は確かにあったはずの熱が
触れても温度を返さない
ただ少しずつ
優先順位の外側へ押し出されていく
関係というものは
終わるより先に
静かに
希釈されていくのかもしれない
#詩 #勿忘草

丁寧に扱われることと
大切に想われることは
きっと同じではない
柔らかな言葉に包まれても
ふとした余白に
心の距離が滲む
あなたは私を見ている
そのはずなのに
視線は透けるように
私を通り越して
どこか遠くへ向かっている
ねえ
その心は今
誰を見ているの
#詩

とりあえずの服を着て
それなりの椅子に座り
間に合わせの景色を眺めている
これを人生と呼ぶには
少し色が足りないけれど
無駄と呼ぶには
積み上げた時間があまりに愛おしい
心の重きをどこに置くか
本番の光は まだ先にある
今はただ 膝を休め
来るべき瞬間のために
重心をそっと未来へ預けておく
#詩

時間が経てば
慣れるのだと思っていた
けれど実際は
痛みが消えたのではなく
触れない場所として
静かに残り続けている
普段は忘れたふりで
暮らしていけるのに
ふとした声や沈黙で
沈めたものが
また浮かび上がる
薄れていくのではなく
ただ奥へ沈み隠れただけ
と気付いた
#詩

愛とは
誰かの為になることだと
信じてきた
自分は後ろへ
静かに押しやる
気づけば
呼ばれてもいない場所で
立っている
他人の感情まで
引き受けてしまえば
境界線が引けなくなる
どこまでが自分かも
曖昧なまま
私の中の幼い子供が
まだ救いを求めていて
名前を呼ばれても
上手く振り向けない
遠くで
赤信号だけが点滅している
#詩

言葉を選ぶたびに
自分の声が薄れてゆく
誰の目にも映らないまま
ただ風景に紛れたい
夜明けが来ても
名前を呼ぶことはなく
沈黙の中で
愛を抱きしめて眠る
けれど 胸の奥では
貴方を呼ぶ音が消えないまま
誰にも聞こえない祈りとして
静かに息づいている
#詩

夕暮れの風に
春の生暖かい熱がまだ残っている
予報の雨が来て
胸の奥が寂しさで冷える
眠りの奥にある癒しに
手を伸ばして見ても
君の声は聴こえない
つま先でバランスを取るような
思いは長く続くはずもなく
愛が何かも分かってないのに
欲しがる罪
#詩 #花水木

長年積み上げた 言葉の地層
毎日同じ時間に響く声は
私の暮らしを編み上げる
柔らかな糸だった
けれど最近届く声は
遠い国のニュースのようで
ひどく短い
手離せないのは愛なのか
変わりゆく季節への怯えなのか
静寂が部屋を満たしていく
今はただ 重すぎる糸を緩め
貴方の知らない静かな夜を
ひとり 飲み干してみる
#詩 #勿忘草

前に傘店に入り目に止まった傘があった。真紅色の傘で内側に薔薇が描かれていた。
12000円と私には高額で悩んだ末に購入した。使った後は水で洗い日陰干しと店主から手入れ法も習った。少し重い傘をクルクル回しながら歩く。それから雨の日が楽しみになった。何度使っただろう。ある日傘立てに置いたら無くなっていた。雨の1日だった今日消えた傘を急に思い出した。大切にされてたらいいけど。
#ひとりごと

今まで見ないように
夢の中に籠っていた
薄い膜の静けさに
呼吸を預けて
じわじわと
現実が浮かびあがる
触れたくない輪郭ばかりが
やけに鮮明で
夢は
頼りない拠り所
わかっていたのに
ほどけるたび
戻される
名前のある日常へ
#詩 #ハナミズキ

境い目は
あるはずだった
乾いた色と
まだ青いものが
触れているあたりで
風が通るたび 輪郭だけが
少しずつ あやふやになる
はっきりさせればいいのに
その一線に触れようとすると
少しだけ 怖くなる
戻れなくなる気がして
分かれているとも
混ざっているとも言えないまま
ただ 揺れている
#詩

与えることも
奪うこともできない
そのくせ
何も背負っていない顔で生きている
罰を受けるほどの罪もなく
救われる理由もないまま
ただ ここにいる
頼りないものにすがる指先だけが
やけに現実的で
切り離す勇気もなく
抱え込む覚悟もなく
それでもまだ
自分を終わらせきれない
#詩

季節を渡すためだけの
あなたは そんなふうに私を呼ぶ
それなら心の重きを
そこから引き剥がさなくては
預け過ぎた熱が喉元で冷えていく
重心を そっと私へ戻す
「つなぎ」ではない
ただ1人て立つ この夜の静寂へ
#詩

後悔のないように
生きたいと思っていた
振り返れば
雑だったかもしれない
その時は必死で
答えを出してきたのに
気づけば身体と心が
噛み合っていない
許すたびに
削れていく
それを当然のように
受け取る人がいる
誠実でいることが
こんなにも
報われないものだったか
#詩

潮が満ちれば
消えると知っていた
波音はすぐそばで
終わりを告げていたのに
それでも
届かないかもしれない
避けてくれるかもしれない
願いに形を与えて
砂を積む
足元から崩れていく
守りたかったのは
城ではなく
信じていた
自分だった
はじめから
何もなかったのだと
夢を見ていたのだと
#詩

言葉は要らない
今はまだ
痛みの輪郭が 曖昧なままでいい
何も変わらなくていいから
この沈黙を
そのまま 置いておいて
触れられれば
傷がひらくだけだから
音も立てずに
過ぎていけばいい
私は無口になる
#詩 #言葉